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皮下輸液や静脈点滴で使用する輸液剤

皮下輸液や静脈点滴に使用される輸液剤にも色々と種類があり、腎不全では複合電解質輸液を使用します。
複合電解質輸液もさらに【等張性電解質輸液剤】と【低張性電解質輸液剤】に分けられ、一般的には等張性電解質輸液剤を使用している猫さんが多いと思います。
ソルデムのような低張性電解質輸液剤を投与されている猫さんもいますが、どちらを使用するかは獣医師の考え方も大きく影響「するようです。

輸液剤の種類

【等張性電解質輸液剤】

体液と電解質濃度がほぼ同じ輸液で、細胞内には水分を補充でず細胞外に留まります。
難しく言うと、「浸透圧が血漿とほとんど同じなので水分の移動がない」という事。

・生理食塩水
・リンゲル液
・乳酸リンゲル液  (ソリタ、ラクテック、ソルラクトなど)
・酢酸リンゲル液  (ヴィーンF、ソルアセトF)
・重炭酸リンゲル液 (ビカーボン)

上記にブドウ糖が加わったものもあります。(重炭酸リンゲル液以外)
含まれる成分や代謝される臓器が違いますので、検査結果や状態により判断します。
低張性に比べてナトリウムを多く含む輸液です。

例えば。。。
生理食塩水・・・・・・ナトリウムとクローム以外含まない。
乳酸リンゲル液・・・肝臓で代謝。腫瘍がある場合はNGです。
酢酸リンゲル液・・・筋肉で代謝。乳酸リンゲル液より代謝が早い。

【低張性電解質輸液剤】

体液よりも電解質濃度が低い輸液で、細胞内を含む体全体に水分を補充できます。
難しく言うと、「浸透圧は血漿とほとんど同じだが、ブドウ糖の代謝の関係で結果的に浸透圧が低くなり水分が移動する」という事。

・1号液 “開始液”  (ソリタT1、ソルデム1など)
・2号液 “脱水補給液”(ソリタT2、ソルデム2など)
・3号液 “維持液”  (ソリタT3、ソルデム3など)
・4号液 “術後回復液”(ソリタT4、ソルデム4など)

等張性よりもナトリウムは少ないですが、1号液以外はカリウムを多く含んでます。
カリウムを多く含むものは、ヒト医療では基本的に腎不全で禁忌となってます。

・・・なんのこっちゃ?!・・・難しいですよね。。。
キーワードをクリックして頂ければもう少し詳しく書いてますが、これ以上詳しく理解する必要はないと思いますし、もっと重要な事が沢山あるのでこの辺で説明終了です。
簡単に言うと【等張性電解質輸液剤】は細胞の中に水分を補給する事は出来ませんが、【低張性電解質輸液剤】なら細胞の中まで水分を補給出来るという事です。

ただし、実際には【低張性電解質輸液剤】を使って細胞内に水分をどの程度補給出来ているかは獣医療において不明です。
これは大学病院などにも臨床データがないことが理由です。



脱水について

脱水は、水分又はNaの失われた量(比率)により、下記のように分類されます。

【高張性脱水】・・・Naよりも水分を多く失った脱水。多量の汗をかいた時などです。
【等張性脱水】・・・Na、水分、両方とも同じように失った脱水。
【低張性脱水】・・・Na、水分、共に失われ、さらにNaを多く失った脱水。

上記中で、高張性脱水を『水分欠乏型脱水』、低張性脱水を『Na欠乏方型脱水』といい、
基本的に脱水の内容により輸液の種類も変わります。


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